11月14日・15日にかけて、共産党の福祉委員会(市古委員、勝又委員)文教委員会(石田委員、片柳委員)健康環境委員会(斎藤委員、石川委員)の6人で、視察を行いなした。14日・大津市では、「子ども総合支援センターゆめっこについて」「子ども発達相談センターについて」「下水熱を利用したヒートポンプ空調システムについて」15日・広島市では「少人数教育について」「私有施設の「屋根貸し」による太陽光発電事業について」「救急現場におけるICT利活用事業について」お話を伺ってきました。
「子ども総合支援センターゆめっこについて」
大津市は人口約34万人、小学校区は37、地域が東西に細長く位置しているため市内7ブロックで構成されています。「ゆめっこ」は平成18年4月に、市街地再開発ビルの市民生活支援施設としての再整備の中でできたそうで、柱が多く少し使いづらいとおっしゃっていました。事務職3人、保育士24人、発達相談員1人、栄養士1人保健担当1人で体制がとられ、保健所、医師会も参加しているそうです。
事業内容としては、①地域子育て応援事業、②情報の収集と発信事業、③親子、家族の交流・学習・体験事業、④子育て語り合い相談事業、⑤大津っ子 子育て応援隊養成事業、⑥発達支援養育事業、⑦大津っ子みんなで育て“愛”全戸訪問事業など多岐にわたる支援を行っています。
「大津っ子みんなで育て“愛”全戸訪問事業」は健康推進課が実施している新生児検診を受けなかった家庭(15~20%)を訪問し、子育ての孤立を防ぐため、不安や悩みを聞き、子育て支援の情報提供、母子の心身の状況を聴きながら適切な支援を行っています。訪問するのは、保育士と民生委員児童委員の方で、平成28年度は555件行ったそうです。川崎ではどのような方法で行っているのか、関心を持ちました。7つの事業のほかにも行っている事業があるそうですが、多胎児交流(双子、三つ子子育て交流)については、私も双子を育てたので、関心があります。話の後、センター内の「ゆめっこ」の様子を見せていただきました。ひろば全体が木材で作られているのが印象的で、暖かい雰囲気が伝わってきます。親子が自由に参加し、楽しめる施設が、まちの中心にあるというのもいいですね。川崎市の施策の中でも検討してみてもいいのではと思いました。
「子ども発達相談センターについて」
大津市の出生数は、2800人(転入が多いため、5歳児は約3200人)
大津市の「子ども発達支援センター」は、子どもの発達に関する相談、支援の場として、2015年2月5日に開所しました。子ども発達支援センターは教育相談センターと併設され、乳幼児健診(4ヶ月、10ヶ月、1歳9ヶ月、2歳6ヶ月、3歳6ヶ月)終了後から中学生まで途切れることなく相談と支援が行われます。
また、発達障害の専門的な相談窓口として、小児科専門医をはじめ、発達相談員、保健師、言語相談員、家庭相談員、元教員などが助言、指導を行っているとのことです。
平成28年度の相談件数は、794人で、5歳児、小学校2年生、中学生の相談が多くなっています。年々センターの認知度が進み相談件数も増えているそうです。
今後の課題は、様々な相談に対応できるだけの、質と量の確保。中学卒業後18歳までの相談支援体制。全体の1%の方が対象になると思われるので、市民への啓蒙が必要とのことでした。
大津の子ども発達支援センターのこれまでの取り組みのすばらしさを感じました。さらに18歳までの取り組みを進めるためには、今後4人ほどの支援員が必要だけれども、何とか進めたいという話。いじめ問題と発達支援は切り離せない問題だから、などの話が感動的でした。参考にしたいと思いました。
「救急現場におけるICT利活用事業について」
広島市ICTビジョン2010-2015の取り組みの中で、「医療や消防・救急体制の充実に向けたICT利活用の推進」の具体化として、救急患者の情報を迅速かつ的確に医師に伝え、医師及び救急隊が一体になった救急体制(広島モデル)の構築を行った。国内では、はじめての取り組みとのことです。
救急現場において、救急車内では、固定カメラで傷病者を撮影し、傷病者のバイタルを測定、救急救命士がビデオ喉頭鏡と患部の詳細映像を撮影するカメラで画像をリアルタイムで4病院(広島大学病院・県立広島病院、広島市民病院・安佐市民病院)に情報を伝達し、病院からは的確な指示を受けます。また、災害現場にもビデオ喉頭鏡と患部の詳細映像を撮影するカメラ持ち出し、同じく情報を病院に報告するとのことです。平成23年3月30日から運用開始、活用件数は、平成28年1,095件、1日平均2.99人です。
整備費用は、約1億5,782万円ですが、全額「ICTふるさと元気事業」(総務省所管)に係る交付金を活用。維持管理費用としては、平成27年度決算額は18,725,194円
質疑内容は
Q1 市民に対する救急車の適正利用の取り組みを行っているようですが、 効果はありますか。
A1 テレビやラジオ、ホームページ、救急救命講習やイベント等のあらゆる機会を通じて救急車の適正利用を呼びかけていますが、特に変化はありません。なかなか難しい問題です。
Q2 気管挿管時の救急救命士の資格は?
A2 病院での実習で30症例の挿管例を行う。認定までに3ヶ月ほどかかる。毎年15人ほどが受けているが認定されるのは8人ほど。現在認定者は、92人になっている。実習は4病院で受け入れていただいている。
Q3 連絡を取った病院等の受け入れ体制は?
A3 医師会との連絡が行われているので、待ち時間が多いということはありません。
救急現場の状況をリアルに迅速に病院に伝えることができ、病院のほうでも的確な情報により、治療の準備ができるメリットがあるとのことですので、川崎市でも活用できればいいと思いました。1年間で、1000件もの運用がされているとのことに驚きました。広島では、人口が減らないように努力しているので、2040年までは人口増加が見込まれていますが、高齢者の急病・転倒による怪我は多い。救急車の適正利用といっても、高齢者は、ホームページ、講習会、イベントでの呼びかけに応えることはなかなか難しいので、取り組みの特効薬はないとのこと、大変だとの話には頷けます。それでも、適正利用の取り組みとして、住民が、急な怪我や病気をした際に、救急車を呼ぶか、いますぐ病院に行ったほうがいいかなど、判断に迷ったとき、専門家から、電話でアドバイスを受けることができる窓口、救急相談センター#7119の開設を平成30年度以降の早い時期にできるよう検討しているとのことでした。
私有施設の「屋根貸し」による太陽光発電事業について
広島市では、事業者の意欲を活用して、太陽光発電の普及拡大を図るため、平成25年及び26年度において、事業者を公募し、私有施設の屋根を最長20年間貸し付ける「屋根貸し」事業を実施しました。
太陽光発電の屋根貸しに適した施設を選定(1586施設中13施設)し、公募を行い、20年間、市は、事業者から使用量を徴収する。20年後事業者は原則、事業開始前の状態に復旧するとのことです。
公募対象は、①建物の建築面積が1000㎡以上でかつ20年以内であること。②屋根の広さが250㎡以上かつ屋根の向きが北向きでないこと。③光害の可能性がないこと。過去に雨漏りの実績がなく、屋根材の耐久性等により、雨漏りの可能性が低いこと。の条件を満たしていること。
公募した13施設のうち、9施設で発電を行っているそうです。今後の事業拡大については、買い取り価格が低くなったことにより、事業の採算性の確保が厳しくなったことなどから、現状の施設数で継続していくとのことでした。
公募の条件がかなり厳しく、市有施設が多くあっても基準に合致しないこと採算性の問題など、なかなか難しい問題を抱えていると感じました。今後、市が整備する市有施設には、太陽光発電システムの設置を位置づけることの必要性や、市民による発電活動への貸し出しも大切と思いました。