東日本大震災により発生した膨大な量の災害がれきの広域処理について、3月29日、五つの要望項目にまとめ、環境局長に申し入れを行いました。環境局長は、「考え方やスタンスについては要望されていることと同じ考えであり、真摯に受け止め、国に対しても要望していきたい」と答えました。要望内容は以下の通りです。
災害がれきの広域処理にあたって―市民への説明と合意、万全の安全対策を
川崎市長 阿部孝夫様 2012年3月29日
日本共産党川崎市議会議員団
団長 竹間幸一
政府からの岩手県陸前高田市・大船渡市の災害廃棄物の受け入れ要請について、市長は具体化をはじめられています。
東日本大震災により発生した膨大な量の災害がれきは復興の大きな障害となっていますが、現在ごく一部しか処理されていません。その最大の原因は、政府が放射性物質で汚染された廃棄物の処理に対して責任をもった対応をしていないことにあります。政府は、被災地での処理能力を強化すること、廃棄物の基準や安全対策を万全のものにすることに全力を注ぐべきです。ただ、膨大ながれき処理を被災地だけで行うことは困難であり、私たちは市民の合意と徹底した安全対策のもとに広域処理をすすめることは必要と考えます。
がれきの広域処理にあたって「安心してこどもを外で遊ばせたい」「がれきの処理で放射能が拡散されるのではないか、と不安で仕方ない」といった声が私たちのもとに寄せられています。福島第一原発事故後の政府と東電の対応をみれば、市民が不安や疑問を抱くことは当然であり、その声を真摯に受け止めなければなりません。
処理にあたっては、政府が廃棄物の放射線の基準、放射線防護対策の指針を示すなど責任ある対応を行うことが必要です。同時に、国、県の示す基準や方針、安全対策をうのみにせず、独自に市民の安全と健康のために安全対策と実験や検証、それにかかわる情報開示を行うべきです。
そのうえで市は、拙速、強行的に行わず市民に十分な説明を行い市民の合意を前提とすべきです。
そうしたことから以下の内容を要望します。
―要望項目―
1、実施にあたっては住民への十分な説明と合意を前提とし、拙速、強行的に行わないこと
2、政府に対して、①被災地での処理能力の強化、②処理に関する基準や方策についての政府の責任をもった対応、③自治体への財政面をふくむ全面的支援を要望すること
3、処理にかかわる方針や方法などについて説明会を開き市民に周知すること。説明会は「特定の地域のみ」などと対象を限定せずに市民全体を対象とし、市民から意見を聞く場ともすること
4、国、県の示す基準や方針の範疇にとどまらず、市民のさらなる安全と健康を確保する立場で独自に基準を定め検査や安全対策を行うこと
5、処理を決定する前に市民に公開のもとで実験を行い、詳細で科学的な検証をすること。また処理のあらゆる段階において処理方法、測定方法、測定結果をすべて公開すること