7月25日、市議団は、NPO法人脳外傷友の会ナナ川崎地区会の皆さんと、同会の「川崎市における高次脳機能障害児・者のQOLを高めるための施策についての要望」について懇談しました。
同会は、交通事故による脳外傷や脳卒中、低酸素脳症、てんかん重積発作などにより高次脳機能障害や遷延性意識障害を発症してしまった当事者の家族の皆さんの集まりです。
川崎市においては5,600人と推定される高次脳機能障害児・者を対象に「北部リハビリセンター」(麻生区百合ヶ丘)、「れいんぼう川崎」(中原区井田)、「高次脳機能障害地域活動支援センター」(高津区)などを中心に支援施策が進められていますが、北部地域中心であり、新たな患者数が増え続けていることから、市内に散在する患者や家族の要望に応えられるよう対応する施設を増やすことを求めています。
要望事項は、
① 急性期・回復期の救急・救命医療体制及び医学的リハビリテーション体制、
② 社会復帰のためのリハビリテーションについての要望、
③ 地域、日常生活の場での社会的リハビリテーションについての要望、
④ 社会復帰・参加に向けての要望、
⑤ 啓発活動を推進するための要望、
⑥ 居住の場の確保や日常生活などの生活支援を充実するための要望、
⑦ 学校教育への要望、など多岐にわたっています。
冒頭、八巻代表からは、川崎では高次脳機能障害児・者の政策は基本的に進んでおらず、横の広がりやつながりもないとの認識を示しました。平成32年開設が予定されている南部リハビリテーションセンターが高次脳機能障害にも対応できるとされていますが具体的な内容はまだ提示されていないといいます。
電車で降りるときにぶつかってそのまま行ってしまった人に「謝るべきだ」と注意するつもりで行ったことが警察で暴行罪と言うことになってしまい、病気によってそういうことになってしまったことを話しても理解してもらえず、和解金を支払うことになった事例を述べ、「警察とか行政の職員の皆さんは研修の機会もあると思いますのでぜひとも高次機能障害と言うものの理解を深めていただきたい」と話されました。
共産党市議団でも、高次機能障害に関して学習会を行っていただきたいとの意見も出されました。参加したご家族の方々から、100人の障害者は障害も100様であること、見た目からは障害者であることが全くわからず能力的には十分であるけれども周囲がフォローしないと仕事を続けることができない、しかし他人の助けを拒否したりするなどから仕事がなかなか定着しない、担当者が変わると障害を一から説明して理解を求めなければならない、などが語られました