10月11日、総合自治会館ホールにおいて、弁護士・反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児さんを迎えての講演会を、日本共産党市会議員団の主催で行いました。会場いっぱいの参加者に、時間をオーバーするほど熱が入ったお話をしていただきました。
サラ金問題・多重債務問題とたたかう宇都宮弁護士は、その根底にある貧困問題の解決に向けた反貧困ネットワーク運動に取り組む中で見えてきた貧困の現状と打開の展望について、話されました。
はじめに、宇都宮さんは、自分の生い立ちから話し始め、貧しい家庭で育ち、小学生のころから、早くお金をもうけて両親を楽にしてあげたいと思って、勉学に励んでいたそうです。しかし、大学に進み、部落問題研究会の部室で読んだ一冊の本に衝撃を受けました。それまで貧乏は自分たちの生活だと思っていたのが、それよりももっと貧しく、その貧乏ゆえに人生を苦しんでいる人たちが世の中に大勢いたのだと知ったこと―それはとても衝撃的だったと言います。その後、こうした貧しい人々がいる中で、自分だけが”出世”して貧乏から抜け出していいのか、と進路について悩むようになりました。そんなとき、「弁護士は弱者の味方。弱者を助けることができる」と弁護士をめざしている先輩の話を聞き、立身出世の道をやめ、弁護士でいこうと決めたとのことでした。
1970年、サラ金問題が大問題となった頃、相談を受けたのがきっかけで、多重債務問題などにも取り組むようになりました。30年もサラ金問題に取り組んできて、その背後にある根源的な”この国のかたち”ー数字的には世界第2位の豊かな国であるにもかかわらず、人間らしい生活ができない「貧困」というものを生み出す構造が見えてきました。そこで、貧困問題に取り組まなければならない、と決意するにいたったそうです。
貧困問題に取り組む中で、この問題を解決するためには、イデオロギー、政治的立場を超えた協力、協働が大切になっていること。同質の集団の集まりは「和」にしかならないが、異質の集団の集まりは、「積」になるということを最後に言われました。なるほどと思いました。取り組む運動を大きくするには、いろんな考えを持っている人ともつながりを持っていかなくてはいけないということでしょうか。
また、貧困の解決は難しく、経済的な解決だけではなく、本人が社会から孤立しないよう、つながりが必要であるということについては、私も生活保護申請手続きなどにかかわっているので、実感しています。