日本共産党川崎市議会議員団は、11月12日、「台風19号による被害への対策を求める第2次要望書」を、伊藤弘副市長に申し入れました。10月18日、福田紀彦市長への第1次要望書に続くものです。以下は要望書の全文です。
台風19号による被害への対策を求める第2次要望書
2019年11月12日
1、水害の原因究明と対策、避難所の課題と対策を
台風19号被害への本市の対応についてすでに10月18日に要望した通り、ひきつづき、河川による氾濫・浸水の原因を明らかにするとともに今後の対策と地域防災計画の見直しを行うこと、避難所の開設と運営にかかわる課題を明らかにして対策を講じることを要望します。
2、一部破損・床上浸水への支援拡充を
台風19号による川崎市内の物的被害状況は、全壊28件、半壊631件、一部破損73件、床上浸水873件、床下浸水286件、非住家被害(全壊・半壊)20件となっています(11月5日現在)。
川崎市にも被災者生活再建支援制度が適用されることになりましたが、この制度は原則として住宅が半壊以上の被害にあった場合が対象とされています。そのため「一部破損」「床上浸水」など、被害を受けた市民のうち約3分の2の方が支援を受けることができません。また他の支援制度等も「半壊以上」が対象のものが多く、一部破損以下の被害を受けた方は制度利用できず、生活再建に支障をきたしています。
床上浸水にあった方からは「自宅の修理などの見積もりをとったら合計200万円程度がかかることになるが、半壊でなければ利用できない制度も多い。来年以降も同じような水害が起こるかもしれないので、『床上浸水』でも利用できる制度を充実させてほしい」と述べています。
京都府では被災者生活再建支援制度に独自に上乗せをして、一部破損・床上浸水の場合でも50万円を上限に補助金を交付(全壊・半壊などでも上乗せあり)しています。また愛媛県、秋田県なども補助上限額は異なりますが、床上浸水の場合などに上乗せを行っています。
本市も被災者生活再建支援制度について、一部破損・床上浸水の住宅に対する独自の補助を創設してください。また国に対して、被災者生活再建支援制度の補助対象に一部破損・床上浸水なども含めるように強く要望してください。被災者を支援する諸制度について半壊に至らなかった場合も対象とするよう要望してください。
京都府や岩手県は被災者生活再建支援制度について、全壊・半壊に対する上乗せ支援を行っています。本市も全壊・半壊への上乗せ支援を行ってください。
3、被災した中小企業・農家への支援の強化
台風15号・19号による市内製造業の被害金額は101件で48億7204万円にのぼります(経済労働局・10月31日付)。一方で、中小企業に対する支援は融資が中心となっており、十分とはいえず、支援の強化が必要です。
中原区のある中小企業では、大型の機械5台が全て泥水に浸かり修理不能となったため市に処分を依頼したところ、大きさや重さが市の施設で処理できる範囲を超えており、解体を含む処分には専門的な知識が必要になることから、対応は困難と回答されたとのことです。「1台処分するのに2万円の費用がかかる。せめて処分費用だけでも助成してほしい」と話しています。浸水により使用不可となった機械の撤去・処分への全額費用補助を行ってください。
市内農家でも深刻な被害が発生しています。JAセレサの調査では、市内の被害件数は作物被害244件、施設被害101件、被害総額は最大で3254万9千円と想定されています。しかし、補助金申請する際、国の制度では見積もりを3社から取らなければならないとなっており、事業者の見積もりを取ること自体が困難な中で補助申請そのものを諦めてしまう農家もあると伺っています。そこでまず、補助申請手続きの簡素化を国に求めるとともに、市としても申請しやすい補助制度に改善してください。さらに、2年前に申請した補助金がまだ支給されていないことから、速やかな補助金交付を行ってください。ハウス被害など災害によって発生した廃棄物の処理も現状では有料となっています。国の支援制度の拡充に合わせ、被災者負担をなくし、災害ゴミの処分を公的に行ってください。